[アクアポニックス初心者向け実践ガイド]アクアポニックスに最適な野菜・失敗しないための基本管理

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アクアポニックス ステップアップ~初心者向け実践ガイド&トラブルシューティング~

近年、アクアポニックスが少しずつ話題になり、テレビで紹介されたり、YoutubeやSNSなどでも見る機会が増えてきています。

とは言っても、実際「アクアポニックスを初めて聞いた」という人たちの方が多いのが現状です。

いろいろな人たちが取り組んではいるものの、まだまだ情報が少なく、調べたくても答えにたどり着けないと感じる人も少なくないと思います。

今回は、アクアポニックス初心者に向けて少しでも問題解決へつながればと思います!!

アクアポニックスは、生命の循環を目の当たりにできる本当に素晴らしいシステムです。

水を循環させて魚を育て、魚の排泄物を養分に野菜を栽培する小さなサイクルが出来上がっています。実際に収穫すると一般的な慣行栽培よりもありがたみを感じます。

しかし、少し慣れてきても

野菜が上手く成長しない」「お掃除は面倒」「お魚の調子が・・」ということもしばしば。

理想では、

「いろんな野菜を育ててみたい!」「もっと大きく、もっと効率的にシステムを運用したい!」

そう思うこと少なくないはずです。

今回は、そんな初心者の方に向けて、 アクアポニックスを楽しむための実践的な知識や、 よくあるトラブルの解決方法、 そしてステップアップのためのヒントを たっぷりとお届けします!

さあ、一緒にアクアポニックスを極めていきましょう!

1. 水質管理をマスターしよう!

アクアポニックスで最も重要なのは水質管理 です。

水質が安定しているかどうかで、 魚や植物の生育、システム全体のバランスが大きく左右されます。

水質と言っても・・・

どんなことを把握するべきなのか、そもそもどうやってチェックするのかなど、そのことについて詳しく解説していきたいと思います。

1-1. 水質パラメータをチェック!

水質を評価する指標となる 水質パラメータ は、 以下のものが重要です。

  • pH(ピーエイチ・ペーハー): 水の酸性・アルカリ性の度合いを示す指標。
    • ほとんどの魚や植物は、pH 6.0~7.5 の範囲で生育します。
    • pH が適切な範囲から外れると、魚や植物の生育に悪影響を及ぼします。
  • アンモニア(水槽内では厳密にはアンモニウム): 魚の排泄物に含まれる有害物質。
    • 高濃度のアンモニアは、魚にとって非常に毒性が強いです。
    • バクテリアによって、亜硝酸に分解されます。
  • 亜硝酸: アンモニアが分解されてできる物質。
    • アンモニアほどではありませんが、魚にとって有害です。
    • バクテリアによって、硝酸塩に分解されます。
  • 硝酸塩: 亜硝酸が分解されてできる物質。
    • 植物の根が吸収しやすい。
    • 高濃度になると、魚や植物に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 水温: 魚や植物の種類によって、適切な水温は異なります。
    • 水温が急激に変化すると、魚がストレスを感じて病気になりやすくなります。
    • 水温が10度付近になると魚の活性は一気に落ち込みます。(餌をあまり食べない)
  • 溶存酸素: 水中に溶けている酸素の量。
    • 魚の呼吸に必要な酸素が不足すると、窒息死してしまう可能性があります。

これらの水質パラメータを定期的に測定し、適切な範囲に保つことが重要です。

特に、

アンモニア・亜硝酸

これらの成分は、魚にとっては毒なので死んでしまう可能性があります。

水槽内でアンモニアなどが過剰になると、pHの変動など、それ以外にも様々な問題が引き起こされます。

ここでこの問題を解決しくれるのが微生物です。

 

これらの成分を比較的毒性の弱い形(野菜の吸収できる成分)へと変化させてくれるのです。魚を育てるというよりは、微生物を育てるとイメージした方が結果として、魚は健康に育つことができるのです。

しかし、微生物が役割を果たしてもそれを吸収してくれる植物がないと、その成分(硝酸塩)は水中に溜まっていきます。野菜や植物にとっては栄養でも魚にとっては若干の毒になるので、水質検査時にアンモニアなどと同様に数値が適正値であるかをチェックすると良いでしょう。

また、硝化が進むにつれて水槽の水は酸性に傾きますので、水槽のpHに変動がないかはこまめにチッェクするのがオススメです。

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1-2. 水質悪化の原因と対策

水質悪化の主な原因

原因 対策
魚の過密飼育 飼育密度を適切に保つ
餌のやりすぎ 基準の量をベースに様子を見ながら与える(1,2分で食べきれる量)
ろ過不足 ろ過システムを強化する(物理濾過・生物濾過を設ける)
pHが極端に低い 有機石灰(牡蠣殻)などを用いてpHを調整する
酸素不足 余裕を持って大きめのエアレーションを設置する
水槽の汚れ 定期的に取り除く・コケなども広がる前に取り除く

1-3. 水質調整の方法

水質を調整するには、以下の方法があります。

水換え

  • 定期的に水槽の水を交換することで、硝酸塩などの蓄積した物質を排出できます。
  • 水槽の水の1/3~1/4程度を、新しい水と交換するのが一般的です。

 

pH調整

  • 有機石灰(牡蠣殻)などを添加する
  • 市販のpH調整剤を使用する際は、使用方法をよく読み、適切な量を使用しましょう。

エアレーション

  • エアレーションを行うことで水槽の水が循環し、溶存酸素量を増やすことができます。
  • エアポンプやエアストーンを使用します。

ろ材の追加

  • ろ過能力を高めるために、ろ材を追加します。
  • 生物ろ過を強化するセラミックろ材や、物理ろ過を強化するウールマットなどがあります。

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水草の導入

  • 水草は、硝酸塩を吸収し、水質浄化に役立ちます。
  • 魚に隠れ家を提供し、ストレスを軽減する効果もあります。

2. 多彩な野菜を育てよう!

アクアポニックスでは、様々な種類の野菜、果物を育てることが可能です。

まずは簡単な野菜から初めて見るのがいいでしょう。

    

システムが安定してきたら、トマトやキュウリ、ピーマンなど、より養分を必要とする野菜にも挑戦してみましょう!

野菜・果物によっては、虫がつきやすかったり、人工授粉が必要だったりと管理に手間がかかるものもあります。

リーフレタスやハーブ類などは比較的手間をかけずに育てることが可能です。

2-1. 養分要求量と供給のバランス

養分要求量の多い野菜を育てる場合は、

  • 魚の量を増やす
  • 液体肥料を添加する(自然由来ベース)
  • 成長に合わせて培地を追加する

などの工夫が必要です。

まずは、飼育している魚に合わせてアクアポニックスに取り組んでみるというのがオススメです。

育てたい野菜の量に合わせて、飼育量を決める方法ももちろん選択肢としてはありますが、まずは本当に自分が飼育できる量なのかを見極める方が大事です。

まずは小さく始めて、コツをつかんでからステップアップさせていきましょう!!

2-2. 栽培方法の工夫

  • つる性植物:キュウリなど、つる性植物は、支柱やネットなどを設置して、適切に誘引しましょう。
  • 果菜類: トマトやナスなどの果菜類は、実が大きくなると、重みで茎が折れてしまうことがあります。支柱などで支えるようにしましょう。

 

個人的にオススメなのは、夏ならバジルやゴーヤ。冬なら葉野菜、トマト。

ゴーヤといえば沖縄のイメージですが、正直どこでも育てることは可能です。夏の間は水温も高くなりやすいので、グリーンカーテンで水槽を覆うようにしてみるのもオススメです。

3. 病害虫対策を万全に!

アクアポニックスでは、農薬の使用が制限されるため、 病害虫対策は予防が重要です。

小さなハウス内であれば虫が入ってきそうな穴などはしっかりと防ぐなど対策をとる。

農薬にもそれぞれジャンルがあって、

農薬全てが体にとって悪いものという認識は間違いでなのです。

一般的な農薬と言われている殺虫剤殺菌剤などの他にも生物農薬(てんとう虫やタバコカスミカメ等)、微生物農薬(バチルス菌、ボーベリア菌等)があります。

 

私も農業に触れるまでは、農薬=すべてが悪いという認識だったので衝撃でした。

しかし、それらの資材などももちろんコストがかかりますし、もちろん使用しないで防ぐことができるならそれに越したことはありません。はじめのうちから対策などを徹底して行いましょう。

3-1. 衛生管理

  • 水槽や栽培槽を清潔に保ち、病害虫の発生源を減らしましょう。
  • 定期的に清掃を行い、藻やコケの発生を抑えましょう。
  • 魚が病気になった場合は、隔離して治療を行い、他の魚への感染を防ぎましょう。

 

3-2. 生物農薬の活用

  • テントウムシなどの益虫を活用したり、ニームオイルなどの天然成分の農薬を使用することも有効です。
  • バチルス菌の葉面散布など

3-3. コンパニオンプランツ

  • 害虫を寄せ付けない効果のある植物を一緒に植えることで、病害虫を予防できます。
  • 例えば、マリーゴールドは、センチュウアブラムシを忌避する効果があります。バジルは、ハエや蚊を寄せ付けない効果があります。
  • クレオメ タバコカスミカメが定着する。トマト、ゴーヤなどにつくアザミウマやコナジラミの天敵として知られている。

天敵の力を活用しよう!害虫を食べる天敵昆虫(タバコカスミカメ編)

クレオメに飛来するタバコカスミカメについては、こちらでより詳しく解説してくれています。

4. システムの自動化に挑戦!

水質管理や給餌などを自動化する装置を導入することで、 より効率的にアクアポニックスを運用できます。

4-1. 自動給水システム

  • 水位センサーと連動して自動的に水を供給するシステムを構築できます。
  • 水槽の水位が下がるとセンサーが感知して、自動的に給水が行われます。

4-2. 自動給餌器

  • タイマーを設定することで、自動的に餌を与えることができます。
  • 魚の種類や量に合わせて、給餌量や回数を調整できます。

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4-3. 水質監視システム

  • 水質パラメータを自動で測定し、異常があればアラートで知らせてくれるシステムもあります。
  • pH、水温、溶存酸素などをリアルタイムで監視することができます。

5. さらなるステップアップを目指して

アクアポニックスをもっと深く楽しみたい! そんなあなたには、さらにステップアップするための ヒントをご紹介します。

5-1. システムの拡張

  • 水槽や栽培槽を増設することで、より多くの魚や野菜を飼育・栽培できます。
  • 複数のシステムを連結して、多様な種類の魚や野菜を育てることも可能です。

5-2. 新しい技術の導入

  • LED照明や太陽光発電など、省エネルギーで環境にやさしい技術を導入してみましょう。
  • 水耕栽培の技術を応用して、養液の循環方法や栽培方法を工夫してみましょう。

5-3. 情報収集と交流

  • アクアポニックスに関する書籍やウェブサイト、イベントなどで情報収集を行いましょう。
  • 他のアクアポニックス愛好家と交流することで、新しい発見や刺激を得られます。

まとめ

今回、アクアポニックスで押さえておきたいポイントや、育てやすい野菜などを紹介してきました。
アクアポニックスに限らず、魚を飼育したり、野菜を育てたりするときに大事なのことは、バランスです。一定の環境下で、ある成分が過剰になれば何かしらの問題が発生してしまいます。
そうならないためにも日々の観察、数値の可視化が大事です。
農業の分野においてもスマート農業のシステムを導入することは、多額の資金が必要になります。
一般的なスマート農業では、国からの補助金なども受けられるという特徴があります。しかし、アクアポニックスは、農業で受けることができる補助金などが受けられにくいといったデメリットもあります。将来的に大きくしていきたいと考えていても、初心者の方には、まずは実践的になれる上でも小さい規模でチャレンジしていき、全体的な知識を少しずつ理解していくことをお勧めします。
これからもアクアポニックスについて紹介していきたいと思っています。
魚に癒され、美味しい野菜を食べて、楽しみながらチャレンジしていきましょう!!
ぜひこちらの記事も読んでみてください♪

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